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MOONLIGHT HONEY - SOMEONE LIKE YOU -

by 鷲尾さゆり


 Blue moonlight , The night which open .
 I repeat love of someone and a short time again .
 I watch a dream for tears and exchange ......
 
 腰に回ったそいつの腕に力がこもる。苦しいのか、そう望んでいるのかよく分からない。首筋にキスされると、身体が固くなるのは、今も変わらない。熱くなる身体とは裏腹に心は冴えざえと凍っていくが、それには気付かぬふりをして、俺はそいつの唇に応える。その熱い舌で溶かしてくれよ、この俺を。何もかも忘れさせてくれよ、と心にも無い事を耳の中に繰り返せば、幾らかは気分も出るだろう。
 「どうしたんだ?何か嫌な事でもしたかい?」
 見えまいと思って、眉を寄せていたのが分かったのか?絡み合った舌を解いて、そう訊く。すまん、嫌なのは俺自身さ。
 「いや、癖なんだ。気にしないでくれ。」
 いい奴だな。まるでおまえみたいだ、と俺は口の端で微笑む。髪の中を滑っていく指が、またおまえを思い出させる。優しい指は心地良い。だから、少しは気分を出して...。
 「なあ、ナイトランプを灯けてもいいか?真っ暗だ。」
 「いや、灯りは要らない。月の明かりであんたが見えるぜ。」
 「もっとはっきり、顔が見たいんだ。」
 「いや、顔は...見られたくないんだ。」
 息継ぎもままならぬ、激しいくちづけをしてそれを誤魔化す。顔は、見られたくないんじゃなくて、見たくないのさ。見てしまったら、思い知らされる。そいつが、おまえではないとー。
 
 In a single night limit , love is too hard .
 I repeat love of someone and a short time again .
 Call lightning of a rose color with lips .......
 
 忙しない呼吸が何をすべきかを教えてくれる。考えなくて済む事はありがたい。身体が勝手に切ない声を上げてくれるし、濡れてくれる。暗闇で、さらに目を閉じれば、俺を抱いているのはおまえ。
 「なあ、口で...」
 「いいよ。」
 頼むから喋らないでくれ。と、言わんばかりに、急いで言葉を引き取って、俺はそれを食む。滑らかで硬いものが、口の中で律動するその感触を、またおまえに重ねる。波打ち際の音だ、といつか言ったっけ。微かにする汐の香がそんな事を言わせたのか?確かに波打ち際だな。緩慢な満ち引きを繰り返し、やがて満ちて来る時を待っている。
 「ああ...」
 唇から漏れる声が、束の間の夢を破る。そう、おまえの声はもっと低かったし、それを聞くと、俺は身体中が燃えるように熱くなったものさ。髪を掴む指の感じは、よく似ている。だから、俺は子猫がミルクを飲むように、何も考えずに舌を動かし続ける。ちょっと乱暴に、身体をひっくり返されるのもいい感じだ。バランスを失って、シーツの端を握った指に指を重ねてくれよ。片方の膝を掴んでくれ。肩の後ろに、優しくキスをしてくれー。そして、俺を満たしてくれ、よ。
 
 Sweet whispers , with tears on the bare skin .
 I repeat love of someone and a short time again .
 I who fell in love to you whom you laugh me ........
 
 濡れた身体、熱い呼吸。それらを絡みつかせれば、一時の夢が訪れる。もう唇を噛むのはやめよう。きつく互いを抱けば、忘れられない日々が甦る。俺の中にいるのは、おまえ。おまえの激しさに俺は我を忘れて、声を上げた。そして、自分の髪がピローの上でめちゃくちゃに乱れるまで、俺はおまえを求め続けた。いつも縺れてしまったその髪を、おまえはそっと梳いてくれたっけ。
 「ああ、悦い...」
 おまえもそう思ってくれただろうか?そう感じて、俺を抱いただろうか?ふと、そんな事が気にかかる。寂し気な瞳が暗闇の中で笑う。
 (どうしたってんだ?健。そんな事も分からないのか?)
 (分かってるさ!)
 怒鳴り返して、俺はまた固く目蓋を閉じる。抱きしめて、顔を埋めたこいつの髪が何色だったかは、覚えていない。俺に見えているのは、少し陽に褪せたダークブロンド。ふっくらとした日向の香りがする、おまえのダークブロンド。だから夢中になって、キスを繰り返し、やがて背中に爪を立てて...。もっともっとと、急き立てる欲望の虜になり、息を弾ませ、ただ溶けてしまいそうなこの瞬間の感覚に酔おう。敏感な熱い素肌に、心を研ぎ澄まして...。
 「ジョーッ!」
 その瞬間、俺はおまえの名を呼ぶ。ずっとそうして来た習慣の延長のように...。怪訝そうに俺を見たそいつも、何か否定的な言葉を口にしたが、俺は何も聞いちゃいなかった。ただ、また涙が止めどなく、溢れた。どんなに愛し合おうとも決して呼ばなかったおまえの名前。何故、そうしなかったのか?...それは俺自身にも分かりはしない。ただ、何故、本当にしたかった事をしなかったのか、という思いだけがまた俺の頬をつたい落ちる。何故、おまえに抱かれている時に、気付かなかったのか、と...。
 
 I laught that I cannot give my heart to you ,
 But , I who fell in love to you whom you laugh me .
 I repeat love of someone and a short time again .
 I watch a dream for tears and exchange ......
 
 - THE END -
 

neoki


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