Summer Party < behind Breathe 4.5 >
* Special thanks to Tsukuyomi-san...

by ルーイ

その日の仕事場はシティ・ホテルのパーティー会場だった。

「おおおお、こりゃあええところで会うた」
割れ鐘のような声が近づいて来て、ジョーの肩をバチバチ叩いた。上機嫌だった。
「こないだ話した孫娘がの」
「あんたそっくりの、めちゃかわいいお嬢さんだったっけか」
うう〜ん、パスだというのに。苦笑。
「ええからええから。絶対好みじゃって」
絶対に好みじゃねえって。老人がどこかに盛んに手招きしている。困ったもんだ。
会場はなかなかの混雑で、華やかな男女が夢のように揺れていた。
ジョーの任務もこのときばかりは婦人同伴で、当たり障りの無い微笑を如才無く浮かべ
ている。夫人の、あのブロンドは染めだ。フン、と鼻が鳴る。鼻と目は整形。け。ジュンの
ほうが文句なしの美人だな。身贔屓の激しいジョーだった。

「おじいさま」
まだ少女らしい声が、耳を心地よく擽った。その声に焦点を合わせて、驚いた。サファイ
ア・ブルーの鈴を張ったような瞳が、好奇心を満々と湛え、老人とジョーを見上げていた。
おりょ?!優しいブラウン・プルネットは本物で、子リスを思わせる容貌も本物だった。
「おじいさまぁ?」
「儂の一の自慢の孫娘じゃ。どうじゃ、儂そっくりじゃろうが」
どこがだよ、とジョーはコトバを失い、娘は悪戯そうにくすりと笑った。
「この男はISOの南部さんの懐刀じゃ。首尾良く籠絡せい」
これが、祖父が孫娘に言う言葉か。
「あら、いやだわ、おじいさまったら。ええ、よくってよ。お任せあれ」
口調はお嬢様だが、性格はジュンかもしれないな、と思った。

アルゼンチンタンゴが会場を流れ始めた。
「ダンスはお得意?」
「お任せあれ、と言いたいところだが、残念ながら仕事中でね」

娘は小首を傾げて、また悪戯そうな微笑を浮かべた。ジョーを見上げる瞳がくるくると光
を弾き、今にも言葉の奔流が唇から溢れ出てきそうだった。
しかし、彼女は、新しい飲み物を手に取ると、黙ってジョーと並んで立った。
堪らねえな、と溜め息を付いた。青い瞳には、魔力がある。


END < Summer Party



Top   Library List