おまけ   

by ナッパちゃん

*注意!*
必ず、「Can't help fallin' love」を読んでからお読みください。
つか、あんまり読まないほうがいい気も・・・。笑って許して♪

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「い・・・痛ぇっ、健!」
「最初だけだ。すぐに気持ちよくなるから、じっとしてろ」
「何言ってやがる、バカ野郎! あ、つっ! そこは痛えんだよ!」
「動くな、ジョー!」
「ちきしょう、どきやがれ・・・!!」
しんとした夜更け、テレビは古い外国の映画を映している。
ジョーがあまりに暴れるのでベッドの脇に置かれていたテーブルが倒れ、ポップコーンの
残りが床に散乱してしまった。
それでも、やり始めたことを途中で止めるのを、健は好かない。
嫌がるジョーの背に馬乗りになり、片腕を背中に捻り上げて自由を奪った健は、自分も無
理な体勢から手を伸ばして相手の太股に触れた。
酷使された筋肉が、皮膚の下で硬く張りつめている。そこを強く擦られたジョーが、また
悲鳴を上げた。
「・・・見ろ、こんなになっちまってるじゃないか! 競技後のクールダウンを面倒くさ
がるから、こんなことになるんだ」
「うるせえ、おまえがあんなにエントリーさせるからじゃねえか!」
「おかげで、特別ヴァージョンのキティがたくさんゲットできただろう? 文句を言うな
よ。だいたいおまえは、日頃の鍛え方が足りないんだ」
200m走、100m走、スウェーデンリレーに200m×4の部署対抗リレー。騎馬戦
では馬をやらされたし、玉入れや綱引きにまで参加せざるを得なかった。・・・今日の昼
間に開催された、運動会の話だ。
ISOは、・・・いや、今回の作戦の立案者である健は、中途半端なことを好まない。そ
れらの競技にはすべて、発売元のオリジナル認定証がついたスペシャルヴァージョンのキ
ティちゃんが、賞品として出品されていたのだ。
(ほら、ジョー。あの競技の賞品もキティちゃんだぞ。なになに、「世界にただ一つの、
キティちゃんレースクイーン・ヴァージョン」・・・)
そう言ってエントリー表を差し出す健の微笑は、いっそ悪魔的と言ってもいいほどだった。
おかげでキティちゃんはG−2号の運転席いっぱいに並べられるほど手に入ったが、ジョ
ーの身体はすっかりガタガタになってしまい、こうして健に手荒いマッサージを受けさせ
られているというわけだ。
アキレス腱をぐい、と伸ばされ、ジョーはぐっとシーツを掴んで声をかみ殺した。健の言
うことが正しいのはわかるが、それにしても腹立たしい。
「ちくしょう、人の弱みをつきやがって!」
「人聞きの悪いことを言うな」
「いつでもすぐ懐柔が・・・イテテ!」
「オレをなんだと思ってるんだ? ゴジラじゃないんだぞ」
いまひとつ話がかみ合わない。だが、今のジョーにはそれを深く考える余裕もなかった。
映画はとっくに終わっていた。ボリュームを絞ったテレビが映しているのは、今日のスポ
ーツニュースだ。
ジョーは暗くした部屋で、目を擦りながらひとりでそれを見ていた。出場できなかったレ
ースの結果が気になって、この時間まで起きていたのだった。健は昼間の疲れが出たのか、
ジョーが背中をもたせかけたベッドの中で、大きなブランケットにくるまって寝息を立て
ている。ジョーの眠気もそろそろ限界だった。
(オレも寝るか・・・)
かるく欠伸をしたジョーは、椅子の背に投げ出された新しいレーシングスーツをちらりと
眺めた。今日の最大の戦利品だ。これを着て来月のレースに出ることを思うと、我知らず
唇が緩んでしまう。
が、そのとき不意に思い当たったことがあって、ジョーは愕然と目を見開いた。
まさかとばかり、健の穏やかな寝顔を覗き込む。目を閉じていればずいぶんと可愛らしく
見えるその顔に向かって、ジョーはぼそりと呟いた。
「健、それは怪獣だ!」
  
  
   *END*



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