GATCHA-MAGAZINE vol.1

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(11/13 17:4709/23 02:13

  [47] THE REVERSE SIDE さゆりん(11/13 17:47) 

THE REVERSE SIDE

「あ・・・」
ちょっと喉につまったような微かな声が、その円い柔らかな唇から漏れた。
ダークブロンドを挟んで右と左に置かれた力強い腕が、何か途方もなく重い
物を支えているみたいに震えた。シーツを握りしめていた指が滑らかに発達
した胸の、汗ばんだ皮膚を愛おし気に撫で、それからダークブロンドを弄る。
「うっ・・・」
女達がSEXYだと騒ぐ顎が耐え切れずにくっと上を向く。髪よりも少し濃い
眉が寄せられ、僅かに樹の色を帯びたその美しい褐色の肢体が白いシーツの
上で震え、そして弓形に反る。ぴんと張った弦のように引き絞られ、そして
放たれる瞬間を待っていた。共鳴するように、
「ジョー・・・。」
と、名を呼んでチョコレートブラウンの髪が激しく乱れた。それから周囲を
満たすのは熱くて荒い息づかいだけになる。しばらくは何も見えない、聞こ
えない。立てていた膝から力が抜け、知らぬうちにシーツの上を滑って行く。
スプリングが鳴って、ベッドが揺れたので、目を開けなくともあいつが横に
身体を投げ出したのが分かった。だからその肩に手を伸ばして、ちょっと力
を込めて引き寄せる。くすっと笑う唇にまだ目を閉じたまま、くちづけると
柔らかいそれが優しく応えた。
(ジョー・・・)
あいつの唇が声を出さずに言っている。でもその先の言葉は決して言わない。

「自分だって辛そうな顔してるぜ。」
目の前で青い瞳が笑っている。可愛い顔に似わない乱暴で激しい振る舞いは
女を抱いてもそうなのか、それともわざとなのか?と、思わずじっとその目
を見るが、悪戯っぽい光の中に答えは見つからない。ちょっと低い声で、
「おまえほどじゃねえよ。」
と、ブルーグレイの瞳が言い返す。そうかな?と、言いかけるのを無視して、
身体を起こすと急に激しい喉の渇きを覚えた。
「喉が乾いたな。」
「ああ、だがもうビールは無いぜ。」
だが、乾いているのは本当に喉なんだろうか?
「すっかり汗をかいちまった。」
「シャワーを浴びて来るか?」
だが、本当にベッドを離れる気はまだ無い。お互いに。
「・・・。」
「どうした?さっぱりして来いよ。」
「どうせ・・・」
俯せたチョコレートブラウンを背中から抱き起こすと、その白い首筋に唇を
当てる。いつものようにぴくりと身体を硬くしたが、もう逞しい腕から逃れ
ようとはせず身体を預けて来た。さっきは切り返され、逆に押さえ込まれた。
どっちが切り札を引くかは、ケース・バイ・ケース。抱きたい方が抱き、抱
かれたい方が抱かれればいい。いやしかし、いつも若干の駆け引きはあるが。
さらさらと長い髪が肩に流れ落ちる。耳のすぐ下なら愛した証をつけても見
咎められやしないだろう。柔らかい唇から漏れる熱い吐息に欲望を呼び覚ま
され、膨張するような感覚に身体中が支配されて行く。

突き動かされるままに、不思議とひやりと冷たいその背に覆い被さる。
「・・・どうせまた汗になるんだから、シャワーは後でいいさ。」
「ああ、そうだな。」
同意する声が掠れている。そのしなやかな背に厚い胸をつけて、ゆっくりと、
だが激しく愛し合う。再びきりきりと弦を引き絞って行くように。シーツを
あいつの指がまた握りしめる。だが、さっきとは違う。俯く顔は見えないが、
軽く唇を噛んでいるに違いない。やがて仰け反るように上げた顔は、見なく
ともその表情が分かる。何かを言いたげに軽く開いた円い唇と、微かに震え
る長い睫毛は、さっき見上げたものと同じ。だが、似て非なるものでもある。
「健・・・。」
名を呼ぶと、まるでくちづけを受けた様にあいつが喘いだ。まだ内側にあっ
た片膝をちょっと強引に開き、その手でしっかりと腰を抱く。仕返しをする
つもりはないが、スプリングが悲鳴を上げるのを止める事は出来やしない。
「ああっ・・・」
と、ダークブロンドの下で短く叫んで、ぎゅっと眉を寄せたのは、今度はチ
ョコレートブラウンの方だった。くちづけの代理に指を伸ばしてその口の輪
郭をそっとたどると、
(ジョー・・・)
あいつの唇が声を出さずに言っている。でも今は決して発音しない・・・。         
                           
                           ーTHE ENDー


[47-1] ビバ!リバ〜(笑)
 
さゆりん(11/13 17:51

Kiwiさん、こういう感じはいかが?

さゆ的には一番気に入ってるかも知れない1本です(笑)
実際、ほんとんどリバだしね・・・って、何がだ??σ(^_^;

[47-2] 似て非なるもの
 
トールハンマー(11/13 20:37

どっちの健もイケる!・・・と、教えられた1本でした。
私はこれで、ジョー「受け」を克服しました(爆)

[47-3] 成る程・・
 
Kiwi(11/14 01:52

勉強になりました。
思わず溜息・・・
やっぱりどっちが受けでも、いいわぁ・・
そうか、リバか・・・
「よし!」て、闘志を燃やしてどうする?

[47-4] ウフフ
 
ツクヨミ(11/24 10:03

そっか〜リバっていうのね。また一つ賢くなっちゃったわん。
それにしてもこの表現力・・・うきぃ〜〜ぃ!と思わず
脳波がおさるさんになってしまいますの!

[47-5] うん、リバ!
 
さゆり。(11/25 22:21

カバではないよ!諸君・・・☆\(- -;;



  [46] 何となくドキドキ・・・ Kiwi(11/08 08:14) 

Secret

窓から差し込む強い日差しに、健は目を覚ました。開け放たれた窓からは爽やかな風が吹き込んできて、日中の暑さが想像出来ないほどの心地良さが有る。もう一度眠りの中に入り込みたい誘惑をやっとのことで宥めて、彼はベッドから身を起こした。
「今日も暑くなりそうだ」
窓の下に臨む青々とした海を見ながら、思い切り伸びをする。朝の空気が肺を満たして、その瞬間健は空腹を覚えた。
「シリアルでも喰うか」
健が作れる料理は知れている。せいぜいベーコンエッグか、スクランブルエッグだ。そして自分一人の為に朝から、そんな物でも態々作る気も無い。健はシャワーを終えると、キッチンへ降りて行った。
自分では滅多に休暇も取らず、旅行もしない南部だが、何故か所有している別荘の数は多い。此処もその一つだ。子供の頃はジョーと二人で、休みの度に何処かの別荘で過ごした。身の回りの世話をしてくれる管理人の夫婦以外には大人が居ない場所で、ジョーと二人で休暇を過ごした。喧嘩をしては仲直りをして、又喧嘩をして・・けれど相手の姿が見えないと、堪らなく不安になって、何時もお互いの姿を目で追っていた。あの頃は「何時まで一緒に居られるか」なんて、気にしたことも無かった。
この別荘に一人で遣って来て、もう三日目。だが休暇は未だ十日間も有る。子供の頃は短すぎた休暇も、一人では退屈の方が勝る。
「第一食生活を何とかしないとな。管理人に休暇を出すんじゃなかった」
二日間シリアル以外に食べた物といえば、初日に行ったこの島に唯一有るホテルでのディナーだけだ。一人で食事をしている健に言い寄って来る連中に嫌気が差して、健はそれきりそこには行っていない。普段なら、それも好い。誘いに乗って一晩だけの、ゲームのようなひと時に身を投じてしまうのも。でも今はそんな気分にもなれなかった。理由は決まっている。今此処にあいつが居ないから。
『もうジョーと過ごす休暇は、永遠に無いのかも知れない』
そう、思うと少し寂しかった。そんな自分にウンザリして健は、シリアルの入ったボウルを取り上げて、リビングのソファに移動した。長い足をテーブルに乗せて、シリアルを掻き込む。シリアルは嫌いではないが、いい加減飽きてきた。今晩くらいはまともな物を食べに行こう。平らげたボウルをテーブルに置いたまま、健はテレビのスィッチを入れた。
「何か映画のビデオでも無かったかなぁ?」
ビデオテープの入ったキャビネットを探して、健は一本のテープを手に取った。
「懐かしいな。昔良くジョーと見たっけ」
テープを入れてスタートボタンを押せば、子供の頃二人が好きだったアニメーションが画面に流れる。それを見つめて健は、この別荘に来るのが本当に久し振りだったのだということを、改めて感じた。子供の頃夢中だった番組は、今では何の興味も沸かない。そのままテープを流しながら、健は目を閉じた。
「ガキじゃなくなって大人になって、見つめている物も、大切な物も変わっていくんだろうな」
『ジョーは今頃何をしているだろう?』
そんな事を考えて居る内に、健は又眠ってしまった。

額に冷たい物を押し当てられて、健は目を開けた。同時に右手でその物を摑もうとした。が、目の前に有るアクアマリンの瞳が面白そうに自分を見つめているのに気が付いて、健は目を丸くした。
「ジョー。何時来たんだ?」
「お前がビデオをつけっ放しで、眠り込んでいる時だ」
ジョーの手の中には、涼しげに汗をかいた背の高いグラスが有った。自分の額に当てられたのはこれだと、健は気が付いた。立ったまま自分を見下ろしているジョーの濡れている髪の毛に、手を伸ばす。
「シャワーを浴びたのか?」
「この島は相変わらず暑いから、汗だくになっちまったんだ」
見上げたジョーは上半身裸のままで、そこにも水滴が彼の日に焼けた筋肉を飾るように残っていた。
「シャワーを浴びた後はきちんと拭けよ。冬でもそんな事をするから、お前は良く風邪を引くんだぞ」
「それはガキの頃の話だろう!」
怒りながらも、ジョーは肩に掛けていたバスタオルで、枯れ葉色の髪を無造作に拭いて、健の隣に腰を下ろす。そんな動作の一つ一つさえも、計算されているかのような優雅さが彼には有った。決して美しいという女性的な言い表し方が似合うわけではないのだが、妙な艶やかさが有るのを健も感じていた。
「お前こんな所に来ても良いのか?」
健の問い掛けに、ジョーはすっかり癖になった、長い前髪を掻き上げる動作を繰り返して、彼を見返した。暫く考えて健の意味するところをやっと理解したように、彼は鼻で笑った。
「俺が居ないとお前が寂しがるだろう。それにお前放って置くと、シリアルしか喰わないしな」
ジョーは、テーブルに置きっ放しになっていたシリアルのボウルを顎で示した。ジョーの方が確かに料理は上手いので、これには反論できない。
「シリアルでも喰っていれば、飢え死にはしないさ。それに此処には、レストランだって有る」
「確かにご馳走して貰う相手には事欠かないな・・」
初日の食事風景を見ていたかのような、ジョーの発言に健は顔を赤らめた。
「誰にでも甘い顔をして愛想を良くするから、言い寄られるんだぜ」
「・・・お前見てたわけじゃないよな」
「何を?俺は何時ものお前から単に想像しただけだぜ」
赤みが差した自分の頬が、何よりも雄弁にジョーの推理が正しい事を証明してしまっている。健は悔しさ紛れに、反撃に出た。
「休暇はユートランドで過ごすのかと思った」
含みの有る健の問い掛けが、島田の事を指しているのをジョーは気付いていたが、薄い笑いを浮かべて手にしたグラスの冷たい紅茶を飲み干した。
「せっかくの休暇に、博士の目の届く所には居たくないな」
「・・・羽は伸ばせないよな」
自分の意図を分かっているだろうに、そんな答えをするジョーに健も合わせた。子供の頃は何でも話していた自分達だが、成長していくにつれて秘密が増えた。ジョーが抱えた秘密の分、健も又その数を増やす。子供の時とは違う目で、ジョーの姿を追っているのが、自分の一番の秘密。
「日差しが弱くなったら一泳ぎして、夜にはレストランに行こうぜ」
「今日は誰にご馳走して貰おうか」
冗談半分に言う健に、ジョーは笑った。
「せいぜい愛想を良くしてくれよ」
「そっちこそ、この間みたいに鬱陶しそうに睨みつけるなよ」
笑い返した健の青い瞳に魅せられた様に、ジョーが顔を近付けて唇を啄んだ。又目を丸くした健の表情を面白そうに見返して、「大丈夫だ。誰もご馳走してくれなかったら、俺が何か作ってやるよ」とジョーは笑って、グラスを片手に立ち上がった。
「ジョー」
健の声に顔をそちらに向ける。その瞬間自分の唇に温かみを感じて、今度はジョーが、目を丸くした。健の唇が一瞬押し当てられ、直ぐに離れた。目を見張るジョーに健は優美に笑った。
「俺腹が減った。昼には未だ早いけど、何か作ってくれ」
「・・・・ちぇ、勝手な事を言ってくれるな」
言いながらもジョーはキッチンへ姿を消した。
やがて聞こえて来たキッチンからの物音に、健は満足そうにソファに身を投げた。空調の効いた部屋の窓の向こうには、南国特有の青い空が広がっている。休暇は未だ十日も有る。
「明日はジョーと何をしよう」
口元に浮かぶ笑みは、ジョーには見せない。あいつが此処に来た事を、自分が喜んでいるのを教えてやる気は無い。
大人の居ない、二人だけの休暇は未だ始まったばかりだった。

The End


[46-1] 何だかドキドキする!
 
Kiwi(11/08 08:18

MAGAZINEに貼り付けるのって、久し振り。
何だかドキドキしている、変な奴・・

[46-2] じつはドキドキ・・・
 
ゆうと(11/09 21:26

前半を読んでいるうちにふと心配になりました。
ケンが一人・・・?もしかして。一人ぼっちでシリアルを食べているなんて・・うぐぐ。(そう、ジョーがいない世界かああっっぅ)
と、思ったの(笑)。
アア、良かった、ジョーが出てきた〜〜〜。←と、安心しているゆうとってば(爆)。

南部博士がいいよね!表立って出ているわけじゃないんだけれど

>自分では滅多に休暇も取らず、旅行もしない南部だが、何故か所有している別荘の数は多い。

ってところに、南部博士の姿を(眉間に皺!前髪パラリで仕事中の)
想像しちゃう〜〜〜。(こんな博士は好きだわ(爆))
世界各地に別荘を持っている、でもその別荘はどこもきれいにしているんだろーな!しかもどこにいっても、同じつくりの別荘かも!?と
余計な事まで考えちゃいました。

Kiwiさんのジョーには島田がいて(?)、健がそれを知っているのが不思議な感じ。結構普通に対応しているのかな?
さりげない会話ですごすひと時にも、健にはちょっと影が差しているよな・・・。
何ていうのは、いけない読み方でしょうか?(笑)。
かっこいい二人(どんな格好でいても)が、レストランで誰かに
ご馳走になる所も読みたいなあと思いました!

お気に入りは、ジョーの上半身裸よ〜〜〜(爆)
ナギさん、ドおおオオ???(爆)

[46-3] ほんとにドキドキ・・・
 
トールハンマー(11/10 14:14

ああ、久しぶりに正統なドキドキ感を味わいました。
いいですね、Kiwiさん!!
健とシリアルがっ!!・・・って、勿論、島田を置いて健の所に
やって来るジョーもっ!
ほんと、ドキドキしたわ。さりげないライトなキスシーンを動画
化して楽しみました。

で、お気に入りはビデオ付けっぱなしの健のうたた寝シーンよ!
ゆうとさん、ドおおォォ????


[46-4] ああ、ドキドキが伝染する・・。
 
ナギ(11/10 15:14

ああん、いいわいいわぁ。
Kiwiさんの健はちょっと繊細で、透明感が漂う。
>口元に浮かぶ笑みは、ジョーには見せない。あいつが此処に来た事を、自分が喜んでいるのを教えてやる気は無い。
今回此処にはまりました。

で、お気に入りはもちろん上半身裸にグラス・・ああ、水滴のきらめくジョーの肉体美よ〜〜〜。(ああ、ドキドキ)
ゆうとさぁ〜〜ん、ナギちょっと壊れてるかもぉ〜〜。ウヒヒ

[46-5] すいません、出遅れましたσ(^_^;
 
さゆりん(11/10 17:28

Kiwiさん、こういうのを書いて頂きたくて、
ゆうとんトコに...(笑)
自分ちって、あんまりあちこち見ないもンで、
あーーー!油断だぁぁ!!(爆)

つーか、書いておいてくださいよぉ〜>Jに(爆)
ううン、いけずぅ...(*^-^*)

ちょっとサン・ドニの夏休みみたいで、でも違うみたいで
Kiwiさんの健やジョーはとてもドライなようで愛らしい。
クールなようで、ドキドキに熱い!

うーん、さゆもドキドキドキ...あぅン(爆)
ありがとうございました!もっともっと...☆\(- -;;

[46-6] ドキドキドキドキ・・・(*^_^*)
 
まゆみ(11/11 22:26

Kiwiさん、、いいなぁ!いいなぁ!いいなぁ!!
健とジョーだけの間に流れる時間。。これから始まる
休暇をあれこれと想像してしまうヤボな私でーすσ(^_^;

>決して美しいという女性的な言い表し方が似合うわけではないのだが、妙な艶やかさが有るのを健も感じていた。

ああ・・・艶やかさ〜〜〜(#^.^#)う〜〜〜、、壊れそう!!!




[46-7] 同じくドキドキ
 
だんご(11/12 21:00

うんうん いい!いい!いいよね!
さらっと書かれたキスシーンにもドキドキ。
これから2人でどうゆう風に過ごすのか、いろいろ想像してドキドキ。
んで、皆の嵌るところが様々でおもしろい。
私はココ
>初日の食事風景を見ていたかのような、ジョーの発言に健は顔を赤らめた。
可愛いじゃん 健。


[46-8] いや〜〜〜ん、、、ドキドキドキ・・・
 
ピーー(11/13 22:18

思いっきり出遅れ〜〜〜!

ああん、、いいわあ、萌え〜〜〜〜〜!!
何気ない光景なのに、すっごいイロがありますね〜〜〜!
ピーーもね、ここ!!

>口元に浮かぶ笑みは、ジョーには見せない。あいつが此処に来た事
>を、自分が喜んでいるのを教えてやる気は無い。

ホントにいいわぁ。読んだあとに、いつまでも余韻が残ります。。。



  [45] さて・・・・タチバナ登場! トールハンマー(09/29 23:32) 

      SUMMER SUMMER SUMMER


それはとても気持ちのいい夏の朝だった。
顔を埋めるプレスの効いたピローケースの周りで微かに芳香するウッディグリーンは、夕べ使ったシャンプーだろうか?それとも、外気に含まれる自然の樹木の匂いだろうか?
昇り始めた太陽はまだその放熱を朝靄の中に抑えながらも、一条に走る光の触手をベッドの上に伸ばし始めているが、開け放たれたままの窓から吹き込む風が、カーテンを、まるでセイレーンの手招きのように揺らしながら、頬や髪に優しく触れるのを感じながら、うつらうつらと微睡んでいることの、なんと気持ちのよいことか・・・、
ここは標高が高いせいで昼間でも気温が低い、連日の強化カリキュラムで心身共に疲れながらも、猛暑の熱帯夜にすっかり寝不足気味のケンは、夕べはとうとう我慢できずに、真夜中にこっそり訓練所のフラットを抜け出し、ここにやって来たのだった。
シャワーを浴びて髪を乾かすのもそこそこにベッドにひっくり返えると、ひんやりと冷たいシーツの肌触りがたまらなく眠気を誘い、エアコンをつけずとも直に寝入ってしまった。

普段はパジャマの下だけをつけ上掛けもかけない状態だが、今朝はタオルケットを羽織っていてもいいくらいだ。
ベッドの上にキラキラ弾ける陽光(ひかり)の欠片は、ケットからはみ出したケンの肢体に
も金砂のように塗れている。それは寝返りを打つ度に肩や髪から零れて落ちた。
今日は・・・講義は午後からだったはず・・・・、それまでにレポートを仕上げなければならない、テーマは「戦場における情報量と内向心理」
うざったい・・・と漏らす唇がピローを落ちてシーツにキスをした。と、ふいに首筋に冷たいものが触れた。ビクッと咄嗟に身を起こして右手でそれを掴む。
「寝込みを襲われたら、一遍にアウトだな」
そう言って手首を握られたまま白衣を着た男が笑った。目の前に銀色の見慣れたステンレスのペンがあった。
「プロなら拳銃を相手の身体に触れさせたりはしないよ」
「なら、尚更だ。私が部屋に入って来たのも解らなかったんだから」
「あ・・・」
言葉を詰まらせてケンは唇を引き結んだ。
「ここのセキュリティーは完全だから・・・」
つい言い訳が口をついて出たが、
「おい、待てよ!ドクターはなぜここにいるんだ? パスワードとアイカラーを登録したのか?」
 驚き顔のケンを上段から見下ろして、男は銀色のペンを白衣のポケットにしまった。その胸元には同じステンレス製の、ISOと刻印されたエリートの象徴のようなネームプレートが付いていて、TACHIBANAと彼の名が刻まれている。
「ああ、ついさっきね。南部博士の命令で君の身体を診察するために」
腰に手を当てて彼は、そして、やんわり付け加えた。
「しかし、それを言うなら君だって、何故こんな所にいるんだい? まだ1週間は訓練所のフラットにいるはずじゃないのかい?」
 あっ!・・・とケンは思わず下を向き、タチバナはフフンを意地悪く笑った。彼は博士の命令だと言った・・・ということは自分が無断でフラットを抜け出したことを南部は知っているのだ。
「俺はどこも悪くない・・・・」
 バツが悪くなって俯いたままでケンが言葉を落とした。それを眺めてタチバナの口元がまた緩む、これは南部の甘さか優しさか?それとも嫌がらせか?「規律を守りたまえ!」と面と向かって注意するよりケンには余程応えるはずだと。
「夏バテを侮ってはダメだ」
「ぐっすり寝たら直ったよ!」
 ぶっきらぼうに言って口を尖らせるケンに、タチバナは腰に当てていた手を伸ばして素肌のままのケンの肩に触れてシーツに沈めた
「なら、診てみよう」
 そして、聴診器も使わずに掌で心音を確かめた。

「うん?どうしたんだ、この痣。この間診た時はなかったぞ」
 一通りの手順で健康状態を確認した後、タチバナはケンの左の肩の裏に、もうかなり小さくはなっているが紫色に変色した部分を発見した。
「受身に失敗したんだ、畜生!あのトレーナー、大男で・・・・」
言い終わる前にケンの身体はひょいとひっくり返された。
「言い訳をするな、敵が優男ばかりとは限らない」
スプリングに軽くバウンドして上を向いた背中をタチバナは慎重に点検した。しかし、脇や腕、背骨を沿って動く手にケンは不平を言う。 
「おい、打ったの肩だぞ、そんなところはなんともない」
「医者は私だ、君は黙っていろよ」
言いながら手は背骨を沿ってもっと下に下がっていく。腰の辺りを過ぎたところで耐え切れずクッとケンが身体を捩った。
「擽ぐったい!」
抗議した口は怒っているが、頬が羞恥に少し赤らんでいる。
それを面白そうに見ながら今度は仰向けて首の筋肉を点検にかかる。寝乱れたままの髪を丁寧に払って、形のいい長い指が少しだけ力を込めて首筋に当てられ、ゆっくりと移動していく。
「起きて」
 言われるままに上体を起こすと、頬を掬った手が左右に頭を動かした。
「痛くないか?」
「なんともないよ!」
 癖なのか文句を言うたびに口を尖らせるケンに小さく溜息をついて、タチバナの手が今度は首の後ろに回った。接近した彼の規則正しい息遣いが間近に感じられ、白衣の消毒薬の匂いと微かな柑橘系が・・・オーデコロンだろうか・・・香った。
そしてふと目を遣ったネクタイを締めた襟元に見え隠れする、赤い花びらを散らしたような小さな内出血の痕を見つけて、ケンは思わず目を反らせた。
ドクターも白衣を脱げば普通の男なんだな・・・・、当たり前のことなのに変に納得してしまう。
と、突然、指が脇腹をツツッと滑り下りた。うっ・・・!と息を詰めて膝の横でシーツを握りしめる。クックッとタチバナが喉を鳴らした。
「からかってるのか、やめろよ、こんな治療があるかよ!」
「ケン、君は幾つになった?」
 自分の文句など知らん顔で関係のない質問をするタチバナに、ケンは眉を寄せながらも「15だよ!それがどうかしたのか」と少し息を弾ませた。
「それなら、そろそろ覚えてもいい頃だ」
「何を?」
 と問いかけて、ケンの目は再び彼の首筋に残る花びらを捉えてしまった。それはさっきよりも赤く色づいて見えて酷く艶かしかった。カッと頭に血が昇った。逃げるように反転してベッドを離れようとした身体を、だがタチバナの手がしかと留めた。
「別に、珍しいものじゃない」
 ネクタイを緩めると彼は襟元のボタンを1つ外して花弁を露にした。そしてさっきと同じようにシーツに沈めたケンの肩を抑えて、上気した顔に唇を近づけた。パニック状態のまま接吻けられて、ケンの頬はますます火照り頭はますます混乱した。
「瞳孔拡散、心悸昂進、脈拍数増加・・・・」
 思考力一時停止・・・・、分析しながら、タチバナの指が胸を這っていく。「やめろよ!」と叫ぼうとした口が突然の感触に言葉を飲み込んだ。啄ばまれて堅くなった小さな突起が痛かった。
「ふ・・・巫山戯るなよ!」
「巫山戯てなどいない」
 聞き慣れたはずの声がいつもより低めのトーンで発した。それが妙に真剣でケンは一瞬、動きを止めた。
「俺を抱くのか?」
「ああ・・・」
 絡まった視線もそのままにタチバナはケンを抱きしめた。身じろいだ身体がSOSを発するように心音を高鳴らせた。それはタチバナの着衣の胸にもはっきりと感じ取ることができた。
「ケン・・・」
 薄いノンフレームを外して耳元で甘く囁くとケンは眉を寄せた。だが、もう抵抗はしていない。
 好奇心・・・かな?と多感な思春期の少年に「求めよ、さらば、与えられん」と呟いてみたが、その言葉が自分自身の手向けだと知って、タチバナは苦笑した。

 窓辺で揺れていたセイレーンの手招きが、いつの間にか止まっていた。
 背中を反らせてその行為に耐えていたケンの口から、とうとう耐え難い声が洩れた。痛覚を刺激されながらも、今まで感じたこともない快感に翻弄され、潤んでしまった瞳から、ツーゥと悲しくもないのに涙が流れた、それを指で拭いながらタチバナが赤く色づいた唇を二度啄んだ。
「辛いのか? 悦いのか? どっちだい? ケン・・・」
尋ねられるが、首を振るばかりで答えることが出来ない。
「あ、あぁ・・っ・・・」
反応してしまう身体が恥ずかしくてたまらないのに、どうすることも出来ず、悔しくて唇を噛むと、彼の手が優しく頬に触れた。
「こんな時は人間、皆同じ反応を示すんだ。自我とは関係なくね、恥ずかしがることじゃない。触れられれば感じる、当然のことだ、解るね。ケン」
彼は、まるで診察室で患者に接するような口調で言った。
それでも、ケンは唇を噛む。が、タチバナの指が巧みに弄むると、それも長くは続かない。頭の中にボーと靄がかかったようで、何も考えられなくなる・・・・戦場における情報量と内向心理・・・・所有する情報量は作戦成功率に・・・比例する・・・と共に・・・、
ケンは辛うじて残っている思考能力を駆使して、失われようとする自我を繋ぎ止めよと呟く唇を震えさせた。
限界が近かった、意思とは関係なく腰が浮き、それが何を求めるものなのかも解らないままケンは昇りつめていく自分を感じていた。
不意にタチバナの身体が離れた。
「あ・・・・」
 思わず離すまいとその身体に巻き付けそうになった腕を我慢して、きつくシーツを握り込む。その様子を満足げに観察しながら、彼はケンの手を絡め取って自分の首に巻きつけた。
「ドク!・・・・」
クッと喉で声を殺しながら、たまらずにもう片方の腕を伸ばしてケンは彼の身体に縋りついた。
「爪を立てるんじゃない・・・ケン、わかったから・・・」
白衣の上からでも痛みを感じるほど、ケンの指が彼の背中に爪立った。
「ドク・・・あ・・、や、はや・・く・・・ああぁ・・・」
ケンには自分が何を言っているのか解らなかった。口から出る単語は意味を成さず、震える唇の上で消失した。
心臓がバクバクして胸が熱い、だがもっと熱い場所がある。そこを何とかしたくて、だが手を伸ばすわけにもいかず、どうすればいいのか解らなくて、ケンは焦れた。
「ちょっと力を抜いて呼吸と整えろ」
な・・・、で、出来るか! こんな時に無理なことを強いる医師にケンは潤んだ瞳で訴えた。しかし、今は言うとおりにする他なかった。腕を緩めて無理やり腹部の力を抜くと、少しだけ呼吸が楽になった。
ふぅ・・・と息をつく、が、離れた胸が空気に曝され冷やりとしたのも束の間、直ぐ様不規則に上下し小刻みな振動を始める。タチバナが慎重に反応を確かめながら引き締まった下腹部に浮かび上がった腹筋を唇でなぞっていく。
「ああぁ・・・!」
 ケンは弄されるままに任せて声を上げ、込み上げるままに身を捩った。

 窓からの風が汗をかいた身体に心地よかった。淡い色の半透明のカーテンが揺れている。
が、セイレーンはもういない。
「一応、ビタミン剤を用意しておくから、後で取りに来なさい。1日3回、食後に忘れずきちんと飲むように」
漸く呼吸の落ち着いたケンの横に腰掛けると、タチバナは襟のボタンをはめネクタイを正した。ケンはチラとそれを見て取ると返事もせずに顔を反対側に向けた。
「おい、聞いてるのか?」
「聞いてるよ」
 タチバナの白衣は所々皴になっていたが、薄いレンズの下の彼の目は涼しげで髪の毛一本と乱れてはいない。それに比べて自分は額にべっとりと汗で髪を貼り付け、涙の跡すらつけて・・・・、それがケンには、たまらなく腹立たしかった。
「ちゃんと言うことを聞いてくれないと困るんだよ、私は博士から君の担当を任されてるんだからな」
 ソッポ向いたケンの顔を覗きこんで、タチバナはその額に乱れて落ちた髪を指ではらってやった。優しい感触に閉じられていた瞼が微かに瞬いた。可愛いじゃないか・・・・と、だが、タチバナが思ったのも刹那、
「食堂に朝食の用意がしてある、顔を洗ったら食べるように、いいね」
「・・・・・!」
「ケン?」
「もしかして、あんたが作ったのか?」
 ぐったりとベッドの上に伸びきっていた身体が、いきなり上半身を跳ね起こした。
「ああ、今日はマーサがいないからね、放っておけば君はシリアルしか食べないだろうし・・・・」
「それで、ここに来たんだな!」
「何だ? どういう意味だ」
 メイドのマーサは、今日は朝から出かけていない。大きな身体に大きな白いエプロンがトレードマークの彼女は子供の頃から母親代わりで自分たちのお目付け役だ。そのマーサの目がないのをいいことに・・・・というのがケンの推理だった。
「待てよ! 違うよ、私は博士の命令で! だから、パスワードもアイカラーも登録してもらった。信用しろよ」
 怖い顔で睨むケンにタチバナは首を竦めた。だが、怯んではいない。指を伸ばして右の鎖骨の下に出来上がったばかりの赤い花びらに触れた。気づいたケンの体温が上昇する。
「大丈夫、ちゃんとTシャツを着れば隠れる位置につけたから・・・・」
「フン、慎重なんだな」
「エチケットだよ、君も覚えておくといい。で、どうだった? 初体験は? まだ感想を聞かせてもらっていないが・・・・」
「な・・・・!」
問われて耳まで赤くなって、ケンは瞳を丸くさせた。
 ククッ・・・・視野狭窄、血圧上昇、タチバナは満足だった。だが、
「SEXって、そんなに冷静でいて出来るものなのか?」
 好奇心旺盛な少年の質問は突拍子もない。
「さぁ、どうかな・・・」と軽く流してみるが・・・・、
「相手によるってことかな?」
 その言葉にギクリとする。私は本気だったぞ!・・・・と、今更ながらに自分の想いに素直になる。
「感想は、じゃ、レポートを提出するよ」
 あっけらかんと答えたケンは、まだ少年のあどけなさを残す目許に、その余韻も艶かしかったが、もういつものケンだった。
「レポート作成にジョーと試してみるものいいが、せめて、これが消えるまでは私のことを想っていて欲しいね」
 指でなぞるとその背がピクッと小さく仰け反った。遮ろうとする手首を掴み、そっと唇を重ねる、差し入れられた感触に眉根が切なげに寄ったが・・・、
 脈拍数・・・・70、正常値?
 タチバナはケンが目を閉じていないことに気づいた。
「で・・・? これも博士の命令だなんて言わせないからな」
 唇を触れさせたまま、青い瞳が身じろぎもせず間近で見開いた。その迫力にタチバナは、今度はちょっと、たじろいでベッドサイドから立ち上がった。
「なんで? 博士は君を診て来るようにと私に言ったんだよ」
そして、後退りながらもクスッと笑って言い足した。
「君の身体が男性として正常に発育を遂げているか・・・をね」
「・・・・・!」
 ・・・・突発性失語症、
「嘘をつけ!」
 ・・・・回復!
投げつけたピローは、だが、素早くドアに遮られ、タチバナの姿はもうそこにはなかった。


           To be continued


[45-1] や〜〜〜〜ぅ!
 
さゆり。(09/30 00:08

うーん、いいねいいねいいね!>トールさぁん(*^-^*)
タチバナって、役得な奴だなぁ(爆)

画稿はゆうとさんです@どうもありがとう!お2人〜(^-^)

[45-2] オリキャラ萌え〜〜!
 
トールハンマー(09/30 00:35

白衣に異常な愛着を感じるトールが立花に挑戦しました。
彼の名は立花昂、遺伝子学研究中のドクター。
ゆうとさんマンガに登場するとってもいい男!超エリートで
超美男子、これで惚れないわけがない!
が、しかし・・・少佐に叱られるな・・・・、

[45-3] マ。マッドだわ!!
 
なっぱちゃん(09/30 01:21

うわお、あたしが三度の飯より好きな(問題あり)マッドサイエンティスト・・・じゃないけど。
弱いんですよ、インテリな愛ある?悪人に。しかもこの健は余裕ないコアクマって感じで、えらい魅力的。
ゆうとさんのキャラデザも手伝って、非常に楽しく読めました。トールさんの文章はとても美しいと思う今日この頃。

[45-4] た、堪らん!
 
Kiwi(09/30 03:38

トールさんの健の色っぽい事。
おまけにこの立花氏。そうか、Gマニアのトップは
彼だったのね。
医者としての立場を巧みに利用した手腕、恐れ入るわ。
初体験の後の恥ずかしがりながらも、何時もの健がカッコいい。

[45-5] 健が
 
だんご(09/30 06:27

可愛いぃぃぃぃ!
タチバナの手管に素直に反応する健ってすっげーー可愛い。
だけんど、やっぱし健は健。
この機会をちゃんと自分のモノ(糧?)にしちゃうのねぇ。

>ゆうとさん 
長髪タチバナ 穏やかで理知的な顔立ち 若きエリート
にふさわしい容貌。その上女の扱いも巧いなんてスマートで素敵〜〜
(この写真の健も可愛いよぉぉ欲しい!)

そして トールさんの文章は、あの同人華やかりし頃のお耽美路線か?
と一瞬思わせておきながら、実は状況がクールに淡々と綴られていて
その微妙なバランスがなんともも魅力的なのです。
トールさん&ゆうとさん ありがとーーー

[45-6] タチバナって、こんなにかっこよかったのか
 
ゆうと(09/30 14:48

・・と、生んだ事も忘れていたゆうと(マンガ担当)です。(爆)
トールさんのフィクは、もー、たーまーらーん!
オ耽美!?と、鼻血を出しかけましたが、健の強かさに、うっ”
と唸っちゃった。
ソーダよなー、ただで済む健じゃないよなあ、いや、恐れ入りました。
是非、今後もタチバナで遊んでください!
よろしくーー!トールさん、ありがとう!

[45-7] タチバナ登場!
 
梛(10/09 09:21

ロン毛、黒髪、白衣のDr.これだけ揃えば、トールが萌えないわけは
無いと思っていましたともさ!!
まさに、貴女のためのキャラ?と、思うほどツボにはまっていたものねぇ。タチバナさん。(笑)
ゆうとさんのタチバナさんが、またいいんだわ。真面目なだけの
つまらないインテリじゃなくて・・。(また描いてくださいねぇ。)



  [44] 思い切って マロンパイ(09/28 15:25) 

初めまして、コメディー路線に便乗し、思い切って投稿させていただきます。友達と、ジュンが健を落とすとしたらどんなふうになるかと話をしていてこんな話ができました。
やや強引に作った話なので、「こんな健って!」「こんなジュンって!」と思われてもどうかご容赦を!

       
             「ラブホテル」
 ギャラクターは相変わらず、叩いても叩いても、豊富な資金力とクモの巣のように張った裏道から武器を得ていた。なりを潜めていても、どこかで準備をしながら力を蓄えていると思うと健たちは焦る心を抑えきれなかった。
しかしとうとうある日、大掛かりな武器取引をするらしいとの情報を得て、5人は町の中で潜伏しているであろう、ギャラクターを探した。 
数日が過ぎて、5人は集めてきた情報を確認するために、街の中心のレストランに集まった。
「怪しいのはこの3人という訳か。どこか出入りする場所とかはわからないか?」
「港の倉庫を調べている所よ。このごろ怪しい船が入ってると言うから。」
「裏町は俺が見てきたが、この3人の足跡はなかったな。」
「何か手がかりがなければ街中を探し切れな・・・あっ・・!」
ジュンは言いかけて、突然立ち上がった。
「どうしたジュン」
「こんな事って・・・あるもんなのねえ・・・」
健が振り返ると、ちょうど写真の男の一人が健たちに向かって歩いてきた。ジュンは急いで写真をしまい、いかにもグループで遊びに行く相談をしてるようにはしゃぐふりをした。
「ねえ、今度の週末はみんなでサイクリングでも行かない?」
「サイクリング?ダサいなあ、行くならドライブか、バイクでツーリングだろう。」
男は科学忍者隊がそばにいるとはつゆ知らず、5人とは少し離れた席に座った。さては、武器取引の相手が現れるのかと、健たちはさりげなく話をしながら、神経はその男に集中していた
しかしそれから間もなく、その男の席には若い女性が現れ、二人は楽しそうにメニューを選ぶとワインを飲んで食事を始めた。楽しそうに話しながらワインを飲んで、ゆっくり食事を楽しみ、なかなか席を立とうとしない二人にジョーはいらつき、ジュン達は気が抜けてきた。
「あれじゃ商談って雰囲気じゃないわね。」
「くそっ、何をいちゃついてるんだ、あいつらは・・!」
「シッ・・!もう少しだ、我慢しろよ。」
 ようやく立ち上がった二人を健とジョーが追ったが、あとの3人は待機していた。
 その男、いや、今はカップルとなった二人はホテルらしい建物の前まで来ると車を降り、中に入っていった。健も急いで車を降りて、中の様子をうかがい、ジョーを振り返った。
「追いかけよう、部屋を確かめないと。行くぜ」
と、健は足を踏み出したが、ジョーがその肩をつかんだ。
「なんだ?」
「ちょっと待て健、ここがどこだと思う?」
「え?」
「俺とおまえで行くのか?怪しまれるんじゃねえのか。」
ジョーのその言葉に、ようやく健もここがどういうところなのか察した。
「普通は男と女で行くものさ、そりゃあ、男同士で行く奴もいるだろうが・・・もっとも任務ならおまえは行くよな。」
健とジョーは顔を見合わせた。任務のためなら、ゲイと思われることも厭わない健ではあったが・・・
「そうだ、それならジュンを呼べばいいじゃないか、男同士で行かなくたって、ジュンがいるんだ。ジュンとなら怪しまれんだろう。」
「ジュンと?マジか、おまえ」
「ああ、任務じゃないか」ツラッとした健の顔に
(わかってるんだか、わかってねえんだか・・・いや、これはわかってねえな)
 健は、二人が部屋のナンバーをしっかり確かめると、ブレスレットでジュンを呼び、
「ジュン、あのカップルは203号室に入ったから、俺たちはそのとなりか向かいの部屋に入るんだ。3人は車の中で待機していてくれ」
「えっ、あたしが健と?このホテルに?」
思いもかけない提案にジュンは驚きを隠せなかったが、
「いいわ、健がそういうなら、任務ですものね。」
と、どこかうれしそうだった。
「ジュンとホテルだなんて、健もやるのう」
「お姉ちゃん、役得じゃない」
「バカね、二人とも、なに言ってるのよ」
ジュンは照れたが、健は大真面目で
「何をふざけた事を言ってるんだ、これは任務だぞ、あの男がギャラクターである証拠を掴むんだ・・!」
竜たちはそれ以上冷やかせなくなった。が、ジョーは
(やれやれ、相変わらずだぜ、ジュンと二人で、ホテルなんて入っていいのかね。どうなっても俺は知らんぜ)
これから先の事を危ぶんだ。

例のカップルの隣の部屋を取った健だったが、自分たちの部屋に行く前に、そっと203号室の鍵を壊してジュンに開けさせた。わずかにドアを開けて中をうかがうと、幸いな事に、二人ともバスルームにいるらしく姿はなかった。健はさっと、盗聴器をベッドの下に投げ入れた。
「これでジョー達にはよく聞こえるはずだ。俺たちはとなりで見張ろう」
そうしてとうとう健とジュンはホテルの部屋に入ったが、二人はぐるりと部屋を見回した。
「ジュン、盗聴器がないかどうかよく調べるんだ。」
「盗聴器?あ、ああ、そうね」
二人は壁にかけられた絵の裏や、ベッドの下などを点検していたが、急に照明の色がピンクに変わって、驚いた健とジュンのお互いの顔を赤く染めた。
「なんだ、この色は・・!」
また、ジュンはベッドの上に座り込んで、枕元のスイッチを調べていたが、突然ベッドが回りだし、「キャッ」と声をあげた。
健が壁に寄りかかると、何かのスイッチにさわり、今度はムーディーな音楽が流れ始め、驚いて体を離した。
「なんだっていうんだ、この部屋は、変な仕掛けばかりあって・・・」
「だって健、ここは・・・その・・・」
「うん?」「ラブホテルだから・・・・」
ジュンに言われて、改めて健は自分の入った所がどういうところだったのかを意識した。ダブルベッドを見、壁の照明を見て、ジュンの顔を見ると、健はどうしたものかと困惑した。
(ベッドはダブルか・・・当然だ・・だがまずいな・・・)
「仕方ないわ、任務なんだから、そうでしょ?ベッドが回ろうが、明かりがピンクになろうが青くなろうが、あたしは構わないわ」
――ジュンの奴、やけに落ち着き払って――
しかし健はリーダーとしての態度は崩すまいと自分を律した。
一方ジュンは――これは神様が与えてくれた千歳一遇のチャンスよ――と、絶対このチャンスを無駄にはしない気構えだった。
「とにかく、今夜はここに泊まるんでしょう?あのカップルもきっと今更動いたりしないわよ。」
「どうしてわかる?」
「だって・・・あの二人、会った時にとても嬉しそうだったもの。ギャラクターにだって恋人がいてもおかしくないでしょう?だからホテルに来てから、わざわざ別の所に行ったりしないわ。」
「む・・・まあな、一応盗聴器を仕掛けておいたから、ジョー達が何かあったら知らせてくるだろう。俺たちは動きがあったら、すぐ追いかけるんだ。」
「ラジャー」とは言ったものの、
(ラブホテルに来てから、何の動きがあるっていうのよ。健ったら、任務になるとそのことしか頭にないんだから。)
ジュンはクスッと笑った。
「ね、健、あたし達も落ち着きましょうよ。たまにはホテルでのんびりするなんていうのもいいじゃない?さっき見たら、バスルームも広広していい気持ちよ。あたし、先に入ってきていい?今日は暑くて、汗びっしょりだったもの。」
「え?あ、ああ、」
落ち着いてるジュンとは対照的に、健はだんだんと落ち着きを無くしていった。いつもは冷静なリーダーの顔を崩さない健が、この状況にだんだんうろたえてきたことが、ジュンは嬉しくなってきた。ゆったりとした浴槽に身を沈めながら、ジュンはこれからのことを考えた。
「焦っちゃだめよ、焦ったら健はまたスッとリーダーの顔になってしまうわ。落ち着いて、ゆっくりと・・・」
ジュンは自分にそう言い聞かせた。
ジュンはやがて、バスローブを着て髪を拭きながら上がってきた。
「ああー、いい気持ちだったわ。やっぱりお風呂も広いといいわねー。健も入ってくるといいわ、さっぱりするわよ。」
そう言いながら髪を拭くジュンの耳元やうなじが、ほのかに赤く染まったのが見えると、健はいささか胸がドキッとした。

 勧められてシャワーに入りながら、こんな事ならば、たとえゲイのカップルだと思われようが、ジョーと来た方がよかったのではないかと考えていたが、シャワーから上がると、ジュンがバスローブ姿でお酒と夜食の用意を整えていた。
「上がったのね、待ってたわ、飲みましょうよ。」
「ジュン・・!俺たちは任務中だぜ・・!」
「恋人同士が今からどこに行くって言うの。それになにか変な相談でもしてたら、ジョーから連絡が来るわよ。」
そのジョーは、健が仕掛けた盗聴器でカップルの会話を聞こうとしたが、イヤホンを耳に入れると、ムッ?という顔になって、じきにうんざりした顔でイヤホンをはずした。
「どうしたんだい、ジョー、何か変な話でもしてたのかい、やっぱり武器取引?」
甚平もイヤホンを手にとって、耳に入れようとしたが、慌ててジョーが取り上げた。
「おまえなんかが聞くもんじゃねえよ。おい竜、ばかばかしくてやってられねえ。車には発信機を仕掛けておいた。俺たちも今夜は引き上げようぜ。」
「え、じゃ、じゃが健に黙ってそんなことしたら、あとでこっぴどく怒られるぞ。」
「こんなものを一晩中聞かされてたまるか・・!」
そう言ってジョーは竜にイヤホンを差し出したが、イヤホンを耳に差し込んだ竜は見る見る顔を赤くした。
「だろう?」
「そうじゃな・・・」
ジョーは車のドアを閉め、走り出した。
「えーっ、なんだってんだよ、いいのかい、連絡もなしに・・!兄貴に怒られるぜ!」
「連絡したらジュンに怒られるかもしれんぞ。」
甚平はよくわからなかったが、とりあえずジョーの言う事を聞くことにした。

 一方ジュンと健は、ジュンが作ったウイスキーの水割りを飲みながら、バスローブ姿のままで向かい合っていた。
そうやって向かい合うと、ジュンの手が動くたびに、胸元の襟が動き、健の目の高さからは谷間が見え、健は目のやり場に困っていた。
「ジュン、ちゃんと服を着てきたらどうだ?そのかっこう・・・俺だって一応男なんだぜ。」
「だって、服は洗っちゃったんだもの。これでも毎晩洗濯してるのよ。あ、健のシャツも洗って干しておいたわ。明日の朝までは乾くわよ。」
「ええっ!」
さっきバスルームに戻って、何か水音がしてたのはこのことだったのかと、健はどうしようもなくなって体をソファに深く沈めた。覚悟を決めて、水割りを飲み始めた
が、ジュンがポツリと言い出した。
「ねえ健?」「ん?」
「健は今までに好きになった女の子っていなかったの?」
「え・・・」
「あるでしょう?好きになった子ぐらい」
そう言いながら、ジュンが身を乗り出してくると、ますます谷間が見えてきて、健は考えるふりをしながら目をそらした。
「あたしはね・・・あるのよ」
ジュンはリラックスして饒舌になってきた。
「ライダー仲間だったわ。バイクに乗り始めたころに知り合って、一緒にツーリングにもよく行って、楽しかったわ。彼にはいろいろな事を教えてもらったの。」
「教えてもらったって・・・・何をだ?バイクのテクニックか?空手か?」
ジュンは、健をチラッと見ながら、思わせぶりな口調で、
「だ・か・ら・いろいろ・・・よ。」
「ふ・・・ん・・」
健は自分のグラスの中を、マドラーでやや乱暴にかき混ぜると、グッとその中身をあおった。
「それで今は?行かないのか?」
「行かないわ、もう行けないの・・・」
ジュンの元ボーイフレンドは、悲しい事にギャラクターとつながっていて、健の命令によって命を失っていたが、それを口にするわけには行かなかった。
「どうして?行けばいいじゃないか」
「だって・・・もう死んでしまったんですもの・・・・バイク事故で・・・」
ジュンは、思い出すとさすがに胸がつまり、ちょっと涙ぐんだが、すぐに顔をあげて、ことさらに明るい声で
「ね、健の話を聞かせてちょうだいよ。」
「え・・・だけどおれはずっと南部博士のところにいて、あとは忍者隊に入ったしなあ。女の子と知り合う機会なんて・・・」
だが、ジュンから目をそらして考えるフリをしているうちに健は思い出した。
「ああそうだ、いつか、夏に南部博士の親戚の子って言うのが遊びにきたな。」
「その子が好きだったの?」
「さあどうかなあ、俺が13か14のころで、同い年だったが、ジョーと二人で相手をして、ピクニックに行ったり、バーベキューをしたり、結構楽しかったな。」
「健もちゃんと女の子を好きになるのね・・・・」
ジュンはそっとため息をついた。
が、少しの間、思い出に浸っていた健が我に帰ると、ジュンが肘掛に座って体を持たせかけてきた。
「お、おい、ジュン、酔ったんじゃないのか・・!」
「う・・ん、そうね・・・」
「しっかりしろよ、酒は俺より強いはずだろう。」
「健と二人でいられるるなんて嬉しいわ・・それもこんなところで・・・」
甘い声でつぶやくジュンに、健は内心困惑していた。。
忍者隊のメンバーとしてのけじめを・・・と、言おうとしたが、バスローブ同士ではけじめも何も言えたものではなかった。だんだん胸ははだけ、すそが開いて足がチラ
チラ見えてくると、健は目をそらしたが、ジュンは
「健って真面目なのよね、でも照れなくてもいいのよ〜」
と、健の首に腕を回して体を預けてきたので、健はソファの背もたれに押し付けられてしまった。
「お、おい、ジュン・・・!」

 とうとう健もジュンを抱きしめてキスをしたが、ジュンはさらに強く健のキスを求め、さすがの健も自分の動悸が速まるのを感じた。任務の時にジュンをかばって抱きしめた時もあったが、お互いにそんなことを考える余裕はなかった。今、初めてジュンの熱い唇を感じ、胸のふくらみと鼓動を自分の胸に感じると、とうとう健も手首のブレスレットをはずし、テーブルにあるジュンのブレスレットに並べた。
「け・・ん・・・」
キスを受けながら、ジュンは壁のスイッチに手を伸ばして照明を落とした。するとややほの暗いピンクの明かりが部屋を包み、床に落ちた白いバスローブがその光を受けて、ピンクに染まっていた。

 一夜明けて健とジュンがJに戻ってくると、あとの3人が揃って帰りを待ち構えていた。
「お帰り〜!」
「よう、二人そろって朝帰りか。」
「役得じゃったなあ、健」
「いやぁねえ、みんな、何を言ってるのよ。」
ジュンは照れくさそうに笑ったが、その顔を見れば一目瞭然だった。
健の方は一瞬ひるんだが、あえて厳しい声で
「なんだおまえたち、俺に無断で勝手に引き上げたりして・・!奴が動き出さなかったからいいようなものの、何かあったらどうする気だ・・!」
「車に発信機は仕掛けておいた。車を使わなけりゃ、追いかけるのはおまえらの役だろう。で、どうだったんだ、おまえらの方は」
「俺たちって・・・あれは任務だ・・・!任務中に何もあるわけがないだろう・・!!何を言い出すんだ・・!」
ジョーはニヤリと笑ってとぼけた口調で、
「だから、その任務がどうだったと聞いてるんだぜ。他に何があるって言うんだ?何かあったのか?」
「えっ・・・・」
「墓穴を掘ったな、健。」
健は絶句し、見る見るうちに真っ赤になるのが自分でもわかった。
(全く正直な奴だぜ。女にかけてはまだまだ俺の敵じゃねえな。)
ジョーはフフンッと鼻を鳴らした。
一方ジュンは上機嫌で、鼻歌を歌いながら掃除をはじめていたが、その様子を見ながらジョーは、一人心の中でつぶやいた。
(この勝負、ジュンの勝ち、だな。さすがに科学忍者隊のリーダーもかなわなかったか・・ジュンもなかなかやるもんだ。)
ジョーは健とジュンの顔を見比べながら、一人ククッと笑った。


[44-1] 恥ずかし〜〜・・!
 
マロンパイ(09/27 21:12

わーっ、出してしまった、恥ずかし〜〜〜!
ご勘弁を〜!

[44-2] 最高です(笑)
 
なっぱちゃん(09/27 21:44

マロンパイさん、はじめまして。コメディも(も、を<強調)大好きななっぱちゃんです。ちゃんづけでよろしく。
あたしはジュンもかなり好きなんですが、この彼女、したたかですね〜。ジョーの「やってらんねーぜ」モードと、「連絡したらジュンに怒られるかも知れんぞ」っておもしろ〜い!
それにメンバーのしゃべり口調が本編まんまで、声が聞こえてくるようでした。
このあと、やっぱり健はセキニンとっちゃうのかしらん。この健、すごいマジメそうだから・・・。(笑)

[44-3] いや〜ん(*^-^*)
 
さゆり。(09/28 01:43

マロンパイさん!!!素晴らしいよぉ!
ありがとうごぜえやす、って何か妙な口調になってしまった(爆)
これは面白いですねぇ!うンうン、キャラがすっごくしっかり
把握してるから、なんだよね。
それぞれを極端過ぎずにカルカン、は猫缶だ;カルカチャライズ
してるトコがタダモノではないな!

誰だ、誰だ、誰だっ!?...(爆)

どうもありがとう!これからもどンどン読ませてねん(^-^)

[44-4] 面白い。
 
Kiwi(09/28 03:29

マロンパイさん、この話とっても面白いです。
健って凄く鈍くて、初なイメージが有りますよね。
ジョーは絶対レディスマンだと思うけど。
健には色々と教えてくれる人は居なかったのかな?

[44-5] ニヤニヤ・・
 
ワインレッド(09/28 11:29

マロンパイさん!!おもしろーーーい、
こういうの待ってたんだ!
やっと、ジュンの思いが・・貫かれてヨカッタヨカッタ

しっかし、健てつくづくウブね・・
第2作お待ちしてま〜す

[44-6] さすがジュン!
 
まゆみ(09/28 14:36

降って沸いたようなこのチャンス!!ジュンが逃さず健を
モノ(?)にしてしまう過程に、大爆笑でした〜〜!
健って初めて体験だったのかしら〜〜(笑)
んで、その二人を楽しみながら見てるジョーがいいわ。。

しかし・・ベッドの下に盗聴器。。それを聞いてうんざり顔の
ジョーが目に浮かぶ〜〜(ぎゃはは)

マロンパイさん、面白いフィクをありがとうございます!

[44-7] 余白とか
 
さゆり。(09/28 15:29

ちょっと一番下の余白、調整させて頂きました(^-^)
マロンパイさん@無断でごめんね by 管理人さゆ。

うわ〜、大好評だねぇ(^-^) 今後ともよろしく〜♪

[44-8] ジュン やるじゃーーん
 
だんご(09/28 18:50

いいね いいね ジュンだよね 
ちゃっかりモノにして ルンルンでとっても可愛い!
そうよ欲しいものは自分で努力して手に入れるのよーー
枕もとのスイッチ調べてる振りして実はわざとスイッチ入れたのでは?
他の3人(特にジョーが面白い!)のリアクションも
きっちり描かれてて一気に読んでしまいました。
マロンパイさん ありがとーー

[44-9] 嬉しいな・・!
 
マロンパイ(09/28 22:59

みなさん、レスと感想、ありがとうございます。
夕べ、やっぱり恥ずかしいから削除しようかなあ、なんて考えながら
寝たんだけれど、こんなにレスがついて嬉しいなー!
さゆりさんにまでお褒めの言葉をいただいて感激です・・!
あ、ところでカルカチャライズってなんでしょう?
みなさんに喜んでいただけてとっても嬉しいですっ!♪

[44-10] caricaturize
 
さゆり。(09/28 23:43

戯画的に、戯画的表現、ってコトですな。
漫画っぽくした、つー感じですかね?
caricature(カリカチュア)が文学や絵画を創作する上で
事物を大袈裟に強調したり(否定的な部分の場合が多い)、
滑稽さをうんと強調したり目立たせたり、という技法ですよん(^-^)

[44-11] 続・カルカチャライズ
 
マロンパイ(09/29 00:07

>戯画的に、戯画的表現、ってコトですな。
漫画っぽくした、つー感じですかね?
ご説明ありがとうございます、勉強になりました。

[44-12] やられたっ!(笑)
 
ゆうと(09/30 14:57

ジュン!やるなっ!(爆)
イヤー、久々にジュンの手腕を見せていただきました!
ラブホー♪に、任務。きゃほーー!
ジュンとも良いけど、ジョーと任務の健も見たい。。(ボカッ☆)
ジョーとジュンだったらどうなるだろう、、と、色々組み合わせて
楽しめますよね〜。面白かったです!
また、読ませてくださいね!



  [43] ☆おしらせ☆ さゆり。(09/25 23:43) 

つーか、機能の紹介です(^-^)

TITLE(左から2番目)クリックして頂くと、ツリー形式に
タイトル一覧が表示されます。POSTにもRESにも新しい
ものにはNEW! マーク(当たり前か?)が付きますので、
下にある、または前のページにある作品に新しいレスが
付いたのも見逃さずに済みますよ!

フロートやめたので、見落としがあるかな?っとね(^-^)




  [42] 今頃なんだが・・。 ナギ(09/25 23:02) 

あのねぇ、Kiwiさんのフィクの、星さんをイメージして描いてみたんだが・・。(勝手にごめんだよぉ。)<(_ _)>
おまけに少女漫画してしまって・・。イメージ全然違ってたらどうしよう。(^^;)ヾ
でもねぇ、トール君が「もう少しおじさまなんじゃないか?」って
言うの。 だから、Kiwiさんに聞いてみようかなぁ・・。なんて
ここのみんなは、どのぐらいの年齢で読んでたのかなぁと言うのもちょっと興味があるし・・・・。


[42-1] 美男だねー!
 
深海魚(09/25 23:11

星さんの年齢??うんうん、興味ある・・・・、
皆さんのイメージは?
しかし、黒髪のロンゲはええーー!
これが萌えずになんとする!
で、少女マンガ・・・? いや!しっかりハードだ!

[42-2] 阿星〜〜〜!
 
さゆり。(09/25 23:22

我熱烈愛梛画伯的阿星!(*^-^*)
真是好美麗的殺手人!>阿星〜〜〜!

[42-3] おお、好みの美男子!
 
ナッパちゃん(09/26 00:58

弱いんですよね〜〜〜こういうタイプに〜〜!!じゅるるる〜。
お、おにーさん、あたしとお茶しません? え、先約がある・・・。ぐっすん。(・_・、)

実際はあたしも、もっとおじさんをイメージしてました。
なんかこ〜、渋い感じの・・・。
でもこれ見ちゃったら、刷り込み入ってしまいましたわ。(*^_^*)

[42-4] えぇ!星の年齢?
 
Kiwi(09/26 03:32

私は大体健より10歳くらい上かな?と思ってます。
この時健は16か17位のつもりなので、星は25,6位かな・・
素敵なイラスト、ナギさん有難う。イメージバッチリ合ってます。
この人も島田同様、居座りそうだなあ・・

[42-5] おおおっ!!!
 
ピーー(09/26 22:23

星、、、こんなにええ男なんか、、、、
こ、これはちょっと、、健とのツーショットも見てみたいぞ!!
>ナギさぁ〜〜〜〜ん!!

[42-6] 見たい!
 
だんご(09/27 00:12

健との睨み合い!
私はもっと酷薄な 見るからに暗殺者ってのを想像してたんだけど
こういう風に みめ麗しいの良いなあ(健の相手だしさ)

でもこの星さん穏やかそうにみえて迫力ある。
静かな殺気も感じるです。

[42-7] 美形!
 
まゆみ(09/28 14:40

星さん、こんなに美男子なら健の相手も十分だわ!
長髪の黒髪にこの眼が、なんかいいわ〜〜

[42-8] 今頃。。
 
ゆうと(09/30 15:03

この、☆さんは、すてきだーー。黒髪で、鋭い眼光!
暗がりにこんな人が立っていたら、、迷わずぶつかるっ(どっかーん)
そしてお知りあいに。。あっ、目的が不純(笑)。
ゆうとが考えると、絶対おじさんになるが、
ナギさんの星さんは、いいわ。。。いい〜〜〜〜〜〜〜〜っ。
いやあ、、ナギさん、早く浮き上がってきてね、マッテルゾ!



  [41] まねっこ(*^-^*) さゆり。(09/24 15:47) 

「うう、ジョー、早くしてくれっ!」
「もう少しだから我慢しろって・・・」
「重いーっ」
「動くなよ、健!よ〜しよし・・・」
「おまえこそ動くな!痛い、痛いってば〜、ジョー」
「ちくしょう、じっとしろって!この野郎ー」
「お、俺が上に・・・」
「待てよ、もう少しだ。わっ、こいつ、引っ掻いたな!」
「ああ、もう駄目だー」
「噛みつくんじゃねえっ、こいつめ!」
「ジョーっ!!はやくー!」

「フギャ〜っ!!」

「あ〜あ、降ろしてやったのに逃げちまったぜ。
 猫の恩知らずって言うのは本当だな、健?」
「だからハシゴを持って来いって言ったのに。
 肩に乗るなら靴を脱げよ、ジョー。」
「すまん。」
「だいたいお前は子犬だの猫だのばっか助けようとしやがって・・・」
「だって可哀想だろ?木から降りられなかったんだぞ。」
「今度、猫を助ける時は俺が上だからなっ!」
「でもよー、引っ掻かれるぜ、健。」
「うるさいっ!竜巻きファイターでも上は俺なのっ!」

(ちゃんちゃん♪)

前半でやましい事を想像した人、手をあげなさい!(爆)


[41-1] 古い話だがもう時効だろう
 
さゆり。(09/24 15:49

まねっこ、じゃなくて、まぁ、猫?かな?
ナッパちゃん、つーか匿名希望!さんへ@御礼。

[41-2] うおぅ、、、
 
ピーー(09/24 17:34

もうイッパツあった!!(爆)
40を読んでなかったら、完璧に引っ掛かっていたのう、、(笑)

[41-3] あ・・・、
 
トールハンマー(09/24 21:35

でも、ナニ・・・は下・・・?(希望)

[41-4] いや〜ん!
 
ナッパちゃん@猫好き(09/25 01:28

「まぁ、猫」に爆笑!!
あたしもジョーは上に乗っかっててほしいです。<バカ
でも靴は脱いでね。(*^_^*)

[41-5] はい!手を上げました。
 
Kiwi(09/25 04:03

だってさゆりさんだしさ。
ナッパちゃんには裏切られたけど、もしかしてって。
それは私だけ?
反省します。
でもかわいそうな子犬や子猫を助ける、そんな貴方が
大好きよ、ジョー。

[41-6] 下・・・・
 
トールハンマー(09/25 20:29

ナッパちゃん、気が合いますね!

[41-7] ・っ
 
さゆり。(09/25 23:39

やっぱり?>さゆりさんだから...(爆)

お〜ほほほほ!(爆)正解でス (´▽`)

[41-8] 感謝!
 
Kiwi(09/26 03:33

さゆりさん、ダブったレス削除してくれて有難う・・



  [40] *ちょっとマズいおまけ* 匿名希望〜・・・(09/24 14:33) 

*注意!*
必ず、下の「38」の記事を読んでからお読みください。
つか、あんまり読まないほうがいい気も・・・。笑って許して♪

***********************

「い・・・痛ぇっ、健!」
「最初だけだ。すぐに気持ちよくなるから、じっとしてろ」
「何言ってやがる、バカ野郎! あ、つっ! そこは痛えんだよ!」
「動くな、ジョー!」
「ちきオょう、どきやがれ・・・!!」

しんとした夜更け、テレビは古い外国の映画を映している。
ジョーがあまりに暴れるのでベッドの脇に置かれていたテーブルが倒れ、ポップコーンの残りが床に散乱してしまった。
それでも、やり始めたことを途中で止めるのを、健は好かない。
嫌がるジョーの背に馬乗りになり、片腕を背中に捻り上げて自由を奪った健は、自分も無理な体勢から手を伸ばして相手の太股に触れた。
酷使された筋肉が、皮膚の下で硬く張りつめている。そこを強く擦られたジョーが、また悲鳴を上げた。
「・・・見ろ、こんなになっちまってるじゃないか! 競技後のクールダウンを面倒くさがるから、こんなことになるんだ」
「うるせえ、おまえがあんなにエントリーさせるからじゃねえか!」
「おかげで、特別ヴァージョンのキティがたくさんゲットできただろう? 文句を言うなよ。だいたいおまえは、日頃の鍛え方が足りないんだ」

200m走、100m走、スウェーデンリレーに200m×4の部署対抗リレー。騎馬戦では馬をやらされたし、玉入れや綱引きにまで参加せざるを得なかった。・・・今日の昼間に開催された、運動会の話だ。
ISOは、・・・いや、今回の作戦の立案者である健は、中途半端なことを好まない。それらの競技にはすべて、発売元のオリジナル認定証がついたスペシャルヴァージョンのキティちゃんが、賞品として出品されていたのだ。
(ほら、ジョー。あの競技の賞品もキティちゃんだぞ。なになに、「世界にただ一つの、キティちゃんレースクイーン・ヴァージョン」・・・)
そう言ってエントリー表を差し出す健の微笑は、いっそ悪魔的と言ってもいいほどだった。
おかげでキティちゃんはG−2号の運転席いっぱいに並べられるほど手に入ったが、ジョーの身体はすっかりガタガタになってしまい、こうして健に手荒いマッサージを受けさせられているというわけだ。

アキレス腱をぐい、と伸ばされ、ジョーはぐっとシーツを掴んで声をかみ殺した。健の言うことが正しいのはわかるが、それにしても腹立たしい。
「ちくしょう、人の弱みをつきやがって!」
「人聞きの悪いことを言うな」
「いつでもすぐ懐柔が・・・イテテ!」
「オレをなんだと思ってるんだ? ゴジラじゃないんだぞ」
いまひとつ話がかみ合わない。だが、今のジョーにはそれを深く考える余裕もなかった。


映画はとっくに終わっていた。ボリュームを絞ったテレビが映しているのは、今日のスポーツニュースだ。
ジョーは暗くした部屋で、目を擦りながらひとりでそれを見ていた。出場できなかったレースの結果が気になって、この時間まで起きていたのだった。健は昼間の疲れが出たのか、ジョーが背中をもたせかけたベッドの中で、大きなブランケットにくるまって寝息を立てている。ジョーの眠気もそろそろ限界だった。
(オレも寝るか・・・)
かるく欠伸をしたジョーは、椅子の背に投げ出された新しいレーシングスーツをちらりと眺めた。今日の最大の戦利品だ。これを着て来月のレースに出ることを思うと、我知らず唇が緩んでしまう。
が、そのとき不意に思い当たったことがあって、ジョーは愕然と目を見開いた。
まさかとばかり、健の穏やかな寝顔を覗き込む。目を閉じていればずいぶんと可愛らしく見えるその顔に向かって、ジョーはぼそりと呟いた。
「健、それは怪獣だ!」

   *END*  ごめんなさ〜〜い! 書き逃げ!


[40-1] 誤解しちゃった。
 
Kiwi(09/24 15:36

最初はナッパちゃんには珍しく、Hネタかと思っちゃたわ。
でもやっぱし私と違ってナッパちゃんは、清い人なのね。
が、ナッパちゃん、Hネタもいけそうじゃないですか。

[40-2] おお!
 
さゆり。(09/24 15:51

ちゃんと、さゆのとリバにっ!☆\(- -;;

あ・、すいませン(爆)

[40-3] おっかしい〜。
 
ナギ(09/24 16:42

ふへへへっ。とPCの前でおかしな笑い声をあげてしまったのは
私です。
わ。私のジョーが、すっかりキティマニアに・・てか、完璧オタク・・。しくしく・・・。

[40-4] あああ、、これも、、、
 
ピーー(09/24 17:22

もう、ちょっと、、今日は爆笑なん連発??
でも、健の微笑は悪魔的、、そうよそうよ、これ、健ファンのツボ!
あらら、ジョーファンのナギさんが・・・?(笑)

[40-5] 素朴な疑問
 
スノーバード(09/24 19:25

あの―、スウエーデンリレーってなんですか?
しかし、なんとキティマニアのジョーでしょう。
獲物を見つけると走っていかずにいられない
猟犬みたい。

[40-6] わわ、かわいい!!
 
トールハンマー(09/24 21:40

ゴジラな健・・・が可愛い・・・って、
じゃ、ジョーがキティちゃんで、今度は健の「ゴジラ」ネタ??
しっかりキティでジョーファンをいたぶったからなー、
お互い覚悟が必要かもだわ、ナッパちゃん!

[40-7] ツボが
 
Linx(09/25 00:35

・・・見ろ、こんなになっちまってるじゃないか!

ここ!! って駄目だなあ > 自分(笑)

[40-8] ♪うんよう、運用♪
 
匿名希望。(いちおう)(09/25 01:38

↑ネタだったんですが、わかっていただけましたか?>みなさん

さゆさん、「とりば」って何のことかと、だいぶ悩んでしまいました。修行が足りませんね、あたしは。
kiwiさん、もちろんHもいけますよ! でもそれってkiwiさんにもさゆさんにもかなわないし、後で読んで絶対後悔するから、あたしは別路線でいこ〜かな〜と。(*^_^*)そのうちチャレンジするかも。
ナギさん、イメージ崩してごめんなさい。あたしもジョーファンなのに、どうしてこんなことに・・・。
トールさん、許していただけましたか?<キティちゃんネタ 勝手に使っちゃってすみません。
ビーさん、喜んで頂けて嬉しい!\(^o^)/健って時々、こうですよね。
スウェーデンリレーって、うちの学校であったんですが、(50〜200mを4人で走る)いま広辞苑で見たらなかったです・・・。ショック。一般常識だと思っていたのに〜。>スノーバードさん
そしてLinxさん、あたしも同罪です。



  [39] 読み違い(オウ!ゴメンナサーイ!!) ゆうと(09/24 10:42) 

ヨミオワッテ、キティノ、アップリケヲ、ドコニツケヨーカ?
ナヤミマシターー。
デモ。コレカンチガイデシター(爆)
デモ。セッカクナノデ、POSTシマース。


[39-1] 似合うから@よろしい!
 
さゆり。(09/24 13:52

うわ〜、可愛くて素敵じゃーん(^-^)>ジョー(爆)
ゆうとさん、ありがと〜@我が事のように御礼 (´▽`)

[39-2] おおう!!(^O^)
 
ナッパちゃん(09/24 14:06

やっぱり書き方がまずかったのか〜〜!! みんなそう思ったのかしらん。
でも、このジョーすごく嬉しそうだから、スーツでいいや!<ターゲットがあからさますぎるぜ、健!
ゆうとさん、ありがとうございます♪

[39-3] ↑
 
匿名希望〜・・・(09/24 14:34

ほんで、名前キッチリ間違えてるから・・・。(号泣!)

[39-4] わおぉー。ジョーがキティちゃんのレーシングスーツを・・・
 
Kiwi(09/24 15:33

このジョーは・・・
いやん妙に似合ってるわ。
やっぱり色はこの色ね。
やったねジョー今度のレースは、これで決まりだよね。

[39-5] 無題
 
ピーー(09/24 17:11

あはは、そうか、、本当は「スーツ」じゃなくて「キティ」だったのねー(笑)。でも、おかげでゆうとさんのジョーが見れたよ〜!(爆)
ジョーって、こういう色も似合うのね。

ナッパちゃん!じゃなくて匿名希望〜・・・さん、、そんなあなたが好き!(爆)

[39-6] 悩んだ・・!
 
スノーバード(09/24 19:18

「キティのレーシングスーツじゃなくて、レーシングスーツのキティ」
といわれて、ん?としばらく悩んだ。頭悪いなー。
でも「キティのレーシングスーツ」そう思ったのは私だけじゃなかったのねん。

[39-7] ひぇ〜〜〜!カッコイイーーーー!
 
トールハンマー(09/24 21:45

ウイニングランを終えたキメポーズ!!
さすが!ジョーだわ!!
で、今度は懐柔(ゴジラ)のフライトスーツの健など・・・



  [38] 某所で拾ったネタ〜。ありがちでゴメンナサイ。 匿名希望!(09/23 02:13) 

*注意!*
コメディです。健やジョーの、かっこいい姿を至上のものとしている方は読んではいけません。きっと気分が悪くなります。うっかり読んでしまった方は、怒らないで忘れてやってください。お願いします。
ああ、だけど今日のあたしは、こんなものを書いてる暇は・・・。
(恥ずかしいので匿名希望。でもきっとバレバレ。)

********************************

「Can't help fallin' love」


大きく切り取られた窓の外は、色とりどりの熱帯魚たちが群れ遊ぶ楽園だ。
ここ、三日月珊瑚礁基地の司令室では、今日も科学忍者隊のリーダーと南部博士がデスクを挟んで作戦資料を検討していた。
これが困難な作戦だということは、図版の添えられた資料を見れば一目でわかった。これほどの事案は忍者隊のメンバーたちにといえども簡単には話せない、と健は小さな溜息をついた。
「・・・もっとも困難であると思われる項目は、このふたつだ」
コツン、と南部がペンシルの先で資料を指した。ひどく難しい顔をしていた。
「私の見たところ、色彩に難があるのではないかと思われるのだが・・・これは長官も同席した会議で決定した重要事項なのだ。仕様の変更は容易ではない」
「それはオレに任せてください。・・・それより博士、この件です」
健はあっさり言って、箇条書きにされた次の項目を指さした。うむ、と深く頷いて、南部も同意を表す。もしもこのような表現が許されるとすればだが、南部の表情にはこれまで以上に困り果てたような色があった。世界は謎に満ちている。ISOきっての天才にですら、解決不可能な事態というものは存在するものらしい。
「それだ、健。きみに何かよい考えはないかね?」
「無茶を言わないでください。これは困難な作戦ですよ」
「わかっている。だが、組織の健全な運営のためには彼の力が必要だ。なんとしても実現せねばならんのだ」
そう言いながらも南部の声には、かすかに絶望の響きがある。健はそんな南部を見ていられず、作戦資料に再び目を落としてじっと考えをこらした。
と、そのとき、彼の脳裏にひらめいた記憶があった。
「・・・博士、可能ですよ!」
「なに?」
「ただし、準備がいります。他国からの人的支援も必要になるかも知れません」
「かまわん、本当に必要なものならどのような支援でも得てやろう。本当に見込みがあるのかね、健?」
半信半疑の南部に、健はくわしく作戦の説明をした。健が話すうちに南部はみるみる愁眉を開き、理知的な茶色の瞳には理解の光がやどった。
「・・・その作戦には、どれほどの見込みがあるのかね」
「うまく秘密裡に運べれば、かなりの成功率ではないでしょうか」
「よし、私が許可する。この作戦は君の立案だ、君にすべてを一任する!」
「ラジャー!」
南部の声は厳しかった。あらためて作戦の重要性を認識した健ははっと背筋を伸ばし、彼のたったひとりの上官に敬礼して、風のように部屋を駆け出していった。


うらうらと晴れた、日曜日の朝。
これからレースに出かけようとしていたジョーは、左手首のブレスレットが鳴る音を聞いて眉をひそめた。
(またギャラクターが鉄獣メカを繰り出してきやがったのか?! よりにもよって、こんな日に・・・ついてねえぜ!)
だが、バードコールを無視することはできない。
「こちらG−2号、コンドルのジョー!」
『こちらG−1号、ガッチャマン。ジョー、至急”ジュン”に集まってくれ』
「なんだって? おい健、今日は・・・」
『重要な件なんだ、ジョー。時間がない。急げ!』
それだけ言って、健は通信を切ってしまった。しばし呆然とブレスレットを見つめていたジョーだったが、やがて舌打ちをして愛車に飛び乗り、ユートランドシティへ向かった。

”ジュン”には、忍者隊のメンバーたちが既に集まっていた。
最後に現れたジョーがカウンターの端に座るのを待って、健が挨拶も抜きに口を開いた。
「我々はこれからISO労働組合主催の親睦集会へ向かう。場所はユートランドスタジアムだ。一般の報道はシャットアウトされているが、我々が参加することはISO局員にも知らされているから、くれぐれも皆に正体を悟られないように気をつけろ」
「・・・え?」
最初に口を開いたのは、甚平だった。
「アニキ、それ何のイベント?」
「労働組合主催の親睦会だと言ったはずだ」
「おいらたちに組合が関係あるのかい?」
「あたりまえだ。おまえも組合員だぞ、甚平。給与明細から組合費が引かれているだろう」
凛として言い放つ健に、ジュンは食い下がった。
「そうかも知れないけど、それとあたしたちと何の関係があるの?」
「オレたちの活動が彼らに支えられていることを忘れたのか、ジュン? 日頃は地味な研究活動に明け暮れている彼らは、オレたちの活躍に大きな期待をかけている。組織の健全な運営のためには、皆の協調が欠かせないんだ」
「だが、話が見えねえ、健」
これは何かの間違いだ、と言いたそうな顔で、ジョーが口を開いた。
「その親睦会とやらで、オレたちが何をするってんだ?」
「我々は運動会に参加する。竜はパン食い競争、甚平は障害物競走、オレとジョーは200m走とリレーに・・・待て、ジョー! どこへ行く?!」
「やってられっかよ!! オレは今日レースがあるんだ!」
「竜、止めろ!」
リーダーの命令は絶対だ。さっさと立ち去ろうとしたジョーを、隣に座っていた竜が後ろから羽交い締めにした。さしものジョーもこれでは動けないが、味方相手に羽根手裏剣など使っては大顰蹙だ。
「おい、健! どうかしちまったんじゃねえのか?!」
ジョーが、肩越しに吐き捨てた。しかし健はたじろぐ様子もない。持参したバッグから淡いピンクのワンピースを取り出し、ジュンに渡した。ひろげてみたジュンは嫌な予感にさっと顔色を変えた。
「健、なあに、これ? あたしに着ろって言うの?」
「そうだ。ジュンは美人だし運動神経がいいから、ぜひ応援団のリーダーをやってくれという長官の命令だ」
「いやよ! こんな短いスカート・・・! それに、こんな可愛いピンクなんて、あたしには似合わないわ!」
「そんなことないさ。着てみろよ、バードスタイルの時と同じくらいの丈じゃないか。それに・・・」
ちょっと言葉を切った健の口調が、急に変わった。甚平やジョーが、だまされるなジュン、と叫ぶ間もなかった。
「・・・オレも見てみたいよ、そんな可愛い服を着たジュンをさ。きっとすごく似合うと思うんだ」
(命中だぜ!)
いつもながら、鮮やかな手並みというほかはなかった。健がふっと浮かべた優しい笑みはジュンの胸をあやまたず撃ち抜き、ちょっと小首を傾げた彼女はピンクのワンピースを胸に抱いて
「いいわ! みんなのこと、応援してあげる!」
と言って、小走りに店の奥へ消えていった。彼女の背中を見送った健の顔は、もう笑っていなかった。
「さて、ジョー。今度はおまえだな」
「ヘッ、このまんま連れて行けるもんなら連れてってみやがれ! 言っとくがな、健、オレはジュンみたいに懐柔はされねえぞ!」
「ジョー、この作戦の重要性がわからないのか?」
「作戦だとぉ?! ただの、規模のでっかい運動会じゃねえか!」
「さっき説明しただろう。これは大事なことなんだ。・・・悪いが、甚平、竜。しばらくふたりきりにしてくれないか。ジョーだけに伝えたい情報があるんだ」
「でも、健。ジョーは暴れるぞい」
「大丈夫だ。ここはオレに任せてくれ、竜」

言われるがままに店を出た甚平と竜は、大きな窓の外から中の様子を窺った。
「・・・ジョーのヤツ、おとなしくしとるのう」
「アニキが何か見せてるみたいだぜ」
「写真かの?」
「そうみたいだけど・・・」
ややあって、健がふたりを呼びに来た。
がっくりと肩を落としたジョーが、カウンターのスツールに座っている。ぐっとカウンターの天板を睨みつけている目がこわくて、甚平も竜も声をかけることができなかった。
ふたりの気持ちを察した健が、低く言った。
「ふたりとも、すまなかったな。ジョーはわかってくれたよ」
「ええっ、嘘だろ、ジョー!?」
思いがけない成り行きに甚平が声を張り上げた。
「ホントに運動会に出るのかい?!」
「・・・ああ、出る」
ジョーの答えは短かく、明確で、また切ないほどに厳しかった。



「・・・さぁ、次は200m走決勝です! 1コース、鷲尾健! 2コース、浅倉ジョージ、3コース・・・」
満員になったスタジアムに、晴れやかなアナウンスが響いた。このレースには科学忍者隊のメンバーも出場しているはずだという噂が(レッドインパルスによって)事前に流されていたため、人々は頬張りかけていた弁当さえ投げ出してトラックに注目した。
「おい、あの8人の中に科学忍者隊のメンバーがいるんだってよ!」
「そんなことはどうでもいいや、それよりあのチアの彼女、どこの部署の子だ?」
「すっげえ美人だよな〜〜!」
人々の興味の対象は様々である。
スタンドでは一足先にパン食い競争を終えた竜が、最下位になってまでせしめたたくさんのパンを次々と口に放り込んでいた。障害物競走のネットをくぐるときにすりむいた膝小僧に息を吹きかけていた甚平も、まるい目を見開いて楽しそうにトラックを見下ろした。

スタートラインでは、彼らの仲間が緊張した声で話していた。
「・・・負けねえぞ、健!」
「おまえはスタミナがないからな。この勝負はオレがいただきだ」
「何言ってやがる。いいか、もしもおまえが勝っても、賞品だけはよこせよ」
「ああ、約束だからな・・・さあジョー、スタートだ!」

ヨーイ、ドン!!



秋の一日、ユートランド最大のスタジアムを借り切って行われた、ISOの大運動会。
200m走の優勝賞品は、世界でたったひとつだけ作られた「シルクのレーシングスーツ・キティちゃん」だった。


    *END*


トールハンマーさん、ごめんなさい! アイディアお借りしてしまいました。
お願いですから訴えないでください〜〜〜!m(_ _)m


[38-1] ぎゃはは!
 
さゆり。(09/23 01:14

ばれたぞ〜(爆)
でも、面白いから許しちゃう〜〜〜♪
ありがと〜、、、っと、と、匿名さん(^-^)@ジョーがいいぜ(笑)

[38-2] あさくら〜!
 
匿名希望!(09/23 01:16

ああ、あってはならぬ誤変換が・・・。がくっ。

[38-3] あさくら〜(笑)
 
さゆり。(09/23 02:15

2箇所、校正済みです@御礼(の、つもり)...(爆)

[38-4] やっぱり、キティちゃんの誘惑に負けたのね。
 
Kiwi(09/23 03:36

ジョーったら、やっぱりキティちゃんの誘惑に負けちゃったのね。
健はさすがリーダー、皆の弱いとこをちゃんと知っていて、
上手く使っちゃうなんて。
憎い!

[38-5] 見れば見るほど・・・
 
匿名希望!(09/23 08:31

情けない話で、すんません。
気になっていたふたつとも直しておいてくれたさゆさん、ありがとうです〜!(・_・、)
ちなみに、しょ〜もないオマケ編も書いたんですが、たぶん行数が多すぎて?ここに書けない。でも新規ポストするようなもんでもない。あたしってバカ・・・。寝ようっと!

[38-6] キティちゃんのスーツって・・・
 
スノーバード(09/23 19:03

キティちゃんのレーシングスーツって一面にキティちゃんの模様がちりばめられてるんだろうか。それを着たジョーを想像すると、
笑えてきちゃう!それにポンポンを振り回しながら
「レッツゴー、レッツゴー!」なんて足を振り上げてる
ジュンの姿が目に浮かぶ。
それにしても健はジュンの落し所を知っていてそこを突くなんて
ずるいぞ・・!

[38-7] 書き込めた・・・嬉しい
 
ワインレッド(09/24 01:52

アッハッハッハ〜夜中にもう一度ときてみれば、
こんなフィクが・・あったなんて、面白かったよ〜
ひさしぶりに笑っちゃったよー
匿名希望さ〜ん!トールさんかと思ったけど・・別人?
キティちゃんに落とされるジョーって情けなくて好き♪
それを操る健も、もっと好き♪

[38-8] みなさん、ありがとうございます♪
 
それは私。(09/24 06:34

も、もちろんトールハンマーさんではございません! とてもじゃないですが、あたしごとき、トールハンマーさんには遥かに及ばないです〜〜〜。
しかしスノーバードさん、「キティのスーツ」ではなく「レーシングスーツのキティ」なんです。(笑)
それはそれで、もしもジョーが着たらものすごいコトになるかも知れませんが・・・。あんがい似合ったりして。
(「3rdグリッドはコンドルのジョー、今日はキティのレーシングスーツを着て出場です!」ひえええ〜〜!)

健をひどく偉そうに、かつイッちゃってるキャラに書いてしまって、ファンのかたには深くお詫び申し上げますm(_ _)m

[38-9] 追伸
 
それは私。(09/24 06:36

ジュンってかわいいですよね。(笑)
あんなに気が強そうなゴーゴーガール(死語)なのに、健の言うことだったらオールオッケーなんですもん。恋する女の子の唯一の弱点。

[38-10] いやいやいや〜〜!
 
ピーー(09/24 17:04

こんな健も好きじゃ!!
そうそう、リーダーたる者メンバーの弱みをしっかり把握してないとなあ(爆)
ピーーはね、冒頭の作戦会議シーンもちょっと萌えっ!ああ、博士と健〜〜〜!(爆)

[38-11] 博士って。
 
匿名希望。(いちおう)(09/25 01:40

ビーさん、ここだけの話、あたしもあのパート書くとき、妙に力が入りました。<でもあの程度







 
Cool Shot! v2.0